そうか、そうか

~とあるSIerの、哀と涙の軌跡~

Veeamによるバックアップ~Amazon S3へのバックアップは厳しいよ 編~

VMware社の仮想化基盤、「vSphere」の導入案件に携わって、7年ほど経ちますが、基盤構築と切っても切り離せないものの一つとして、『バックアップ』があります。

 

Arcserve、Backup Exec、NetBackup、VBR、VDPなど、いろんなバックアップ製品を触らせてもらいましたが、最近は特に仮想化基盤との連携を強めたバックアップ製品が多いですね。

 

最近だと『Veeam Backup & Replication(以降VBR)』を使う機会が増えました。

 


 

このVBR、仮想化基盤との親和性が非常に高く、最近流行りの『VMware Cloud on AWS』環境のバックアップにも対応しており、単純にバックアップを取得するだけであれば、そう難しいところもない、ということもあり、個人的には今キテるバックアップソフトです。(ただし、フル英語です!)

 

さて、そんなVBRなのですが、先日『Amazon S3』にバックアップを取得するというお客様からのご要件を満たすため、色々調べていたのですが、そんな中で、VBRのマニュアルに気になる一文を見つけたので、ご紹介したいと思います。

 

以下、Veeam Backup & Replication 10 User Guide for VMware vSphere(2020/9時点)より抜粋。

    • Object storage gateway appliances that are used to store backup data in filer (CIFS/NFS) or block device mode (iSCSI/FC/SAS) are not supported if the backup data is offloaded to object storage and is no longer stored directly on the appliance.

    Such gateway appliances are only supported in the following cases:

    • All of the backup data is stored on the appliance altogether (that is, all of the backup chains are stored on the appliance as a whole and not scattered across multiple devices) and only additional copies of the backup data are transported to object storage.

     

 

↓ 以下、翻訳。

バックアップデータをファイラー(CIFS / NFS)またはブロックデバイスモード(iSCSI / FC / SAS)で保存するために使用されるオブジェクトストレージゲートウェイアプライアンスは、バックアップデータがオブジェクトストレージにオフロードされ、アプライアンスに直接保存されなくなった場合はサポートされません。 


このようなゲートウェイアプライアンスは、次の場合にのみサポートされます。

 

すべてのバックアップデータはアプライアンスにまとめて保存され(つまり、すべてのバックアップチェーンはアプライアンス全体に保存され、複数のデバイスに分散することはありません)、バックアップデータの追加コピーのみがオブジェクトストレージに転送されます。

 

・・・・( ゚Д゚)?

なるほど!わからん!

けど、とっても気になる記載です。

 

ということで、この件について、サポートへ問い合わせをしてみました。

 

結論から言うと、2020年9月現在

Veeamを使ってS3にバックアップを取ろうと思うと、

・VTL(仮想テープライブラリ)を使用する

・Scale-out Backup Repositoryを使用する

しか、方法がないようです。

 

たとえば、Aamazon S3の領域を手軽に使用する機能として、AWSには『Storage Gateway』というサービスがあります。

これを使うと、Amazon S3の領域をSMBやNFSiSCSIなどで使用できるという素晴らしいサービスです。

 

これらをVeeamで使うことができれば、とても気軽にAmazon S3へのバックアップが果たせることになります。

 

ただ、

 バックアップデータをファイラー(CIFS / NFS)またはブロックデバイスモード(iSCSI / FC / SAS)で保存するために使用されるオブジェクトストレージゲートウェイアプライアンスは、バックアップデータがオブジェクトストレージにオフロードされ、アプライアンスに直接保存されなくなった場合はサポートされません。

の一文があるように、Storage GatewayでのSMBやiSCSIで、Amazon S3へデータを送り込むことは、Veeamとしてサポートされていないようです。

 

なじみ深いプロトコルが、軒並み使えないというのは厳しい制限ですね。

 

Amazon S3へのバックアップ要件は、これからも増えていくと思いますが、将来このあたりを改善してほしいなぁ、と思います。

 

余談ですが、Amazon EC2の『EBS』に対してSMBやiSCSIプロトコルを利用してバックアップを取得する、というのはOKだそうです。

 

 

今回は、Veeamの制限についてご紹介しました。

Amazon S3などのオブジェクトストレージへのバックアップが、もっと手軽になってくれると嬉しいですね!

 

ではでは。