そうか、そうか

~とあるSIerの、哀と涙の軌跡~

VMware Cloud on AWS ~そういやホストの追加ってどうやるの?編~

新年あけましておめでとうございます。🎍

今年もどうぞよろしくお願い致します。

 

↓ つい先日3Dプリンタで作りました!お正月っぽいかな?

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さて、本日はVMware Cloud on AWS(以降VMC)の紹介シリーズとして、

VMCにおける『ホスト追加』についてご案内したいと思います。

 

 

 

オンプレミスのホスト追加は辛いよ

オンプレミスのvSphere仮想化基盤においてESXiホストを追加する、というのは中々大変な作業です。

 

・互換性の確認

・機器選定

・見積もり

・調達

・導入

・場合によっては、既存環境のバージョンアップ

・既存環境への追加 or クラスタグループの追加

 

などなど。

時間も労力も物凄くかかります。

 

特に、初期導入から時間が経っているときの基盤追加は、互換性や影響度の確認が凄く大変で、パンツ一丁で暴れだしてやろうかと思ったこと、ありますよね?

 

さて、ではAWS環境上でサービスとして稼働しているVMCはどうなんでしょうか?

 

まず、おさらいです。

 

Q1:VMCにおけるホストやvCenterの管理はどこがやっているか

A1:VMwareが行っている。

 

Q2:ユーザーがホストの設定変更や、電源操作はできるか?

A2:できません。(VMwareによって管理されているから。)

 

これを踏まえると、VMCにおけるホスト追加も・・・なんとなくわかりますね?(笑)

 

はい、『ホストを追加する』という作業そのものは、利用者が行うわけではなく、VMware側が行います。

また、追加に伴うオンプレミスで発生するような煩わしい作業は一切ありません。

 

VMCにおけるホスト追加には種類があるのさ

 

VMCにおけるホスト追加には、大別して2種類の手段があります。

 

① Elastic DRSによるホストの自動追加

② ユーザーによるホスト追加オペレーションの手動実行

 

です。

 

前者は、VMCの仕組みによるESXiホストの自動追加。

後者は、ユーザーが任意のタイミングで行うESXiホストの手動追加。

 

どちらも、追加する際に発生する作業は負いませんが、

『ホストを追加する』というトリガーをユーザーが引くのか、VMCの仕組みで自動で行うのかが異なります。

になります。

 

Elastic DRSってなぁに?

これは、VMC固有の単語です。

Elasticとは、「弾性」という意味です。

柔軟さや伸縮性を感じられる単語ですね。

 

Elastic DRSは、『vSphere DRS』とは関係がありません。

が、DRSという名前の通り、その機能コンセプトは似通っています。

 

それは、どちらの機能の説明にも「リソース使用率に応じて」という単語が入るところです。

 

vSphere DRSは・・・

ESXiホストのリソース使用率に応じて、仮想マシンを自動移行することで、環境負荷の平準化を自動で行ってくれる機能です。

 

一方、Elastic DRSは・・・

クラスタグループのリソース使用率に応じた、ESXiホストの自動スケールアウト/スケールイン を行ってくれる機能です。

 

VMCでは、既定で4つのポリシーが用意され、用途に応じたポリシーを選択することができます。

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初期状態では、ストレージ使用率が75%(※1)を超えると自動でESXiホストが追加されるようになっており、CPUやメモリといった使用率は、考慮されないようになっています。(この閾値も変更できません。)

 

また、このElastic DRSですが、無効化はできません。

必ず、上図4つのいずれかのポリシーを選ぶ必要があります。

 

※1:

ESXiホスト追加のトリガ値である使用率75%という数字は、正確には目安だそうです。実際にホストの追加を行うかの閾値は、EWMA(指数加重移動平均)という仕組みで算出されているそうです。vSphere Clientから見たとき、データストア使用率が75%を超えていても、即座にElastic DRSが働くわけではないそうです。

vpxd.logに記録されているvsanScaleInUtilEwma: という値が、72を超えるとホスト追加がトリガされるようです。

実際に超えると、こんな感じででます。

 

2020-11-30T08:40:46.318Z info vpxd[11901] [Originator@6876 sub=drmLogger opID=SWI-37e4f213] EDRS vSAN util info - capacity: 43187255771136; physicalUsed: 34287360580509; logicalUsed: 41224318662736; transientSpace: 219023015936;vsanScaleOutUtilEwma: 73;

 

 

 さて、本題。ホスト追加について

やっとこさ本題です。

ホストの追加は、Elastic DRS以外にも手動で行うことが可能です。

 

VMware Cloud Service Portal(以降CSP)から、[ホストの追加]を押下します。

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追加するホストの台数も選べます。

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あとは、[ホストの追加]ボタンをポチっ!とすれば、お・し・ま・い・DEATH!

環境やタイミングによっても異なるのかもしれませんが、ホスト1台の追加に要した時間は、大体20分程度でした。

 

物理のホスト追加にかかる手間を考えると、涙が出るほど速いですね。

 

ちょっと注意しないといけないよ!

まず、VMCでは1Clusterグループで作成できるESXiホストの台数は、2021年1月現在、16台までです。

 

ずんどこホストを追加すると、17台目は、新しいクラスタグループに作成する必要が出てきます。

 

ところが、VMCにおいて2クラスタグループ目以降は、最低3台のホストで構成される必要があるため、実質16台目の次は、17・18・19台目を新しいクラスタグループに追加する必要があり、従量課金制であるVMCでは大変辛い状況になってしまいます。

 

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↑ 17台目だけ欲しいのに、クラスタグループを追加せざるを得ない状況になってしまったため、19台まで拡張しないとダメになった悲しき環境

 

なので、今後のホスト追加が見込まれるような環境の場合は、どこかでクラスタグループをさっさと新規作成してしまった方がよいです。

 

極端な例で言うと、全体でESXiが16台必要なのだとすると、

『1クラスタグループで、16台用意する』のではなく、

1クラスターグループ目に9台、2クラスタグループ目に7台用意する

という構成にしておけば、各クラスタグループの拡張性に余裕ができます。

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 ↓ クラスタグループの追加も、ホスト追加とほとんど手順は一緒です。ただ、ホストは最低3台からです。

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↓ 2クラスタグループ目を追加するとこんな感じで見えてきます。

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今回は、VMCにおけるホスト追加をものっそいざっくりとご説明致しました。

オンプレミスでは苦労の多いホスト追加ですが、VMCだととっても簡単です。

 

ただ、従来のオンプレミスには存在しない「Elastic DRS」という考え方もありますので、上手に利用していきたいですね。

 

ではでは。