そうか、そうか

~とあるSIerの、哀と涙の軌跡~

VMware Cloud on AWS ~ここがオンプレとは違うんだよ 編 その2~

前回、VMware Cloud on AWS(以降VMC)とオンプレミスvSphereの違いについて紹介しました。

 

VMCとオンプレvSphereの違い』をざっくりとご紹介する!の続きです。

 

 

 

ネットワーク設定は、vSphere Clientからじゃ触れないんだ

vSphereにおいて、設計の肝とも呼べる「ネットワーク設定」。

 

vSphere仮想化基盤を触られたことのある人であれば、

 

・vSwitch(仮想スイッチ)

・ポートグループ

 

という単語に聞き覚えがあるのではないでしょうか?

 

「新しくVLANを追加したので、ポートグループも追加しないと!」

「クローズなネットワーク環境を作りたいから、vmnicを持たないvSwitchを作ろう。」

 

といった作業、ありますよね?(なかったらごめんなさい。)

 

VMCでは、こうした作業をvSphere Clientからは行えません

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 ご覧の通り、分散仮想スイッチの追加なんかもできません。
 
これらは、VMCの「Cloud Service Portal」から行います
頭文字をとって、「CSP」と呼ばれることが多いです。
 
CSPは、VMware Cloud サービスの管理ポータル画面です。
後述の「vRealize Log Insight Cloud」もCSPからアクセスすることができます。

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ここから、VMCでネットワークの設定を変更する画面へアクセスができます。

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ここで、「セグメントの追加」を行うと、ここで作成したセグメントがVMCのvSphere Clientにも反映され、ポートグループが作成されます。

 

↓ PortGroup_0151がvSphere側にも表示されていることがわかります。

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監視がちょっと大変

vCenter Serverを使った監視と聞いて、「vCenterでしょ?アラートメール か SNMPトラップ 使えばいいんじゃないの?」と思っていた時代が私にもありました。

 

結論から言うと、2020年11月現在、どちらも使うことができません。

 

理由は1つ。

vCenter Serverの詳細設定が変更できないから

です。

 

vCenter Serverでメール設定を行うとき、SMTPサーバーのアドレスを[vCenter Server設定]から行います。

同じく、SNMP送信先アドレスも[vCenter Server設定]から行います。(ひと昔前だと[詳細設定]だったかな?)

 

これらの設定は、以下の通りです。

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青枠を見ていただくとわかるとおり、

「メールサーバ」と「メール送信者」欄が空白になっています。

 

また、赤枠を見ていただくと、

設定を変えるための編集ボタンが非アクティブ状態です。

 

つまり、メール送信のための設定が何一つ行えない状態になっています。

 

 じゃあ、監視どうすればいいんだよorz となりますが、

一番簡単なのは「vRealize Log Insight Cloud(以降vRLIc)」を使用することです

 

cloud.vmware.com

 

この機能、有料版もありますが、実は無償版もあります

ログが7日分しか保管できなかったりといった制約はありますが、メールを飛ばすというためだけに使うのであれば、無償版でもその役目を果たしてくれます。

 

オンプレミスでもあった「vRealize Log Insight」ですが、ESXiのsyslogなどを収集し、検索・閲覧などがしやすくなる、とっても便利なプロダクトです。

 

VMCでは、これに「Cloud」の文字がつき、VMCと同様にサービスとして提供されています。

 

これを使って、メール発報を行う場合、以下のような流れで行います。

 

例)

データストア使用率を監視し、閾値に達したらメール発報する、というような場合

 

① vCenter Serverでアラーム定義を作成する

② vRLIcでアラームが発報されたログを見つける

③ vRLIcで「アラームが発報されたログの文言がログから検出されたらメールを飛ばす」という設定を行う

 

↓実際にアラート定義を行うところです。

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VMCでは、ハードウェア故障は、ユーザーが監視する必要はなくなりましたが、使用率などのパフォーマンス系の監視で、vCenter Server本来の監視機能が使用できないのは若干痛手ですね。

 

今後の改善に期待したいところです。 

 

まとめ

2回にわたって、オンプレミスとVMCとの違いをご紹介しました。

使えば使うほど、『使用者にも私のようなSIerにも優しいサービスだな』と感じる一方で、まだまだこれから改善・改良されていくのかな、と感じる部位もあります。

 

誰にとっても使いやすくなるサービスになってくれれば嬉しいですね!